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今からほんの数ヶ月前。中学の卒業、そして同時に高校受験を控え、
周りが躍起にって勉強している中。
俺は特に焦りも危機感も感じられずに毎日を過ごしていた。
そもそも、この程度の事で浮き足立ってる連中の気が知れない。
たかが高校受験だろう。
なんて周りに言うと、やれお前は冷めてるだの、やれ頭が良いからそんな事が言えるんだ、だの言われた。
担任の先生が言うには、お前なら何処の高校にだって推薦で行ける。
お前は我が校の誇りだ!‥その長い長い髪さえ切ってくれればな。
だそうだ。
勿論、受験も1つの経験だと思い、推薦の話しは断った。
そして特に夢も目標もなかった俺は、とりあえず周りの友達と同じように、地元の高校に通う事にした。
『学校なんて近けりゃ何処だっていいさ。』
なんて言ってはみたものの、理由は他にもいくつかある。
取るに足らない程の下らない理由だったが、それすらも無い所に行くよりはマシだろう。
まず家から近い。それだけでも選ぶ理由になる。
それから、この辺りで学ランが指定されている高校は、そこだけなのである。
特に深い意味は無いが、まぁ一度は着てみたかったし。どの道行きたい学校なんて無い。
そして今日が入学式の日。
朝からパタパタと真新しい制服に袖を通し、
『なんか、着なれないと変な感じだなぁ』
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