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息子が勝手に髪を切ったくらいで泣くか普通。
俺が思うに、母は本当は娘が欲しかったんじゃないか。
産まれたのが息子だった為に、責めて髪だけでも女の子らしくしたかった。
‥程度に思っていたが。そんな理由ならあの気丈な母が泣くとは思えない。
きっと何かあるのだろう。
とにかくそれからは勝手に髪を切る事もしなかった。親の涙など見たくはないからな。
しかし身長もあまり無かったせいもあってか、女と勘違いされることも少なからずあった。
というか初対面で俺が男だと気付く奴なんて今までいたか。
まぁまだ15歳だ、これから身長だって伸びるのだろう。
来年には今の150㌢の身長が180㌢以上になっている。
‥そんな夢を見た。
ゆっくりと朝食を済ませ、家を後にし徒歩で学校へ向かう。
今日から通う高校は、通い慣れた中学とは全く反対の方向にあったが、家からの距離はむしろ近くなったくらいだ。
徒歩でほんの15分くらいだろうか。
丁度校門の辺りまで来ると、後ろから浮かれた声がした。
『その後ろ姿は‥愛しのマイハニーサクちゅわぁ~ん!』
ドスッ!!
抱き付こうと迫ってきたバカに振り向きざまボディに一発いれる。
が‥はっ‥‥!
『し‥シャンプーの香りがまた‥素敵だ。。』
踞りながらもバカな事を言っているこの男が、不覚にも唯一の親友である戸田 アキラだ。
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