プロローグ

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統一された世界。そう言っても、真に世界が平和になった訳ではない。新世紀となった今でも際限なく争いは続いている。宗教や移民、資源………挙げようと思えば火種など幾らでもある。“クイーンシステム”に基づかれた秩序にも、限界があるということだ。 “クイーン”を中枢とした貴族達の派閥争い。己の欲望から、野心から、争い、戦う。 では、真の平和とはなんだ?  ………この世界は、歪みきっている。 衛星軌道上にある宇宙コロニー群“ハーツ”。新世紀となったこの時代を象徴するものの一つと言えようそれは、現在実行されている“クイーンシステム”の要となる“クイーン”が居る場所であり、そこでは数多くの人間が暮らしている。ここで様々な技術の発展や進化が遂げられ、人類は大いなる一歩を踏み出そうとしていた。  が、それは同時に破滅への一歩だということは、誰も知るよしもなかった……… “ハーツ”を形成しているコロニーの中でも、その中枢を担っているものを“セントラル”という。地球から運ばれてきた資源はここで加工され、各コロニーや地球へと運ばれる。そのため他と比べて比較的安定した国家であり宇宙に住む多くの人々がここ“セントラル”で生活をしている。 *** 「ねえソラ、見てよあれ!モビルスーツだよ。すっご~い……」 ソラ 「はしゃぐなケイン。この時代にモビルスーツの一機や二機珍しくないだろ」 ビル建設工事をしている作業用モビルスーツ、ZF-09“グラム”を見て、ケイン・ハーバーは目を輝かせて言った。 ケイン 「そうだけど……でもでも、見るって言ってもテレビの中とかだけだし……こんなに間近で見られるなんてめったにないことじゃない?」 ソラ 「……まぁ一理あるか」 ケイン 「でしょでしょ」 歩道の信号が変わるのを先に行って待っていた青い髪の少年、ソラ・アオイに歩み寄りご機嫌な様子で隣りに立つ。
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