じいさんのいたずら

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ふと気がつくと、朦朧とした意識の中なにかが聞こえる気がした。 これは頭の上の方にある縁側の廊下のビニールで出来た畳が擦れる音だ。 爺さんが帰ってきたのかな…と思う間もなく頬に氷水を浴びせられたかのようなひんやり、では済まされないような冷たい感触。 俺は年柄も無く 「わああ!」 と叫びながら飛び起きた。 下を向いて頬があったところを見ると、キンキンに冷えたオロナミンCが汗をかいて転がっていた。 「ばあさーん、ばあさん!起こすなら声くらいかけろよー」 廊下に向かって声をかけたが返事が無い。 俺はお上の入り口に経ってもう一度呼んでみたが俺の声がわんわんと変な反響を反してくるだけでそれ以外は何も聞こえない。 玄関に行ってみると、俺と死んだ爺さんの靴がそのままになってる以外は靴は出されていなかった。 そう言えば婆さんは親戚の家に行くといってた気がする。 狐につままれた気分になりながらもお上に戻ると、転がってたはずのオロナミンCがちゃんと立っていた。 仏壇に近付いて、小さな爺さんの写真に 「爺さんなのか?」 と聞いてみた。 当然爺さんはなにも答えなかったが、触れた写真たての下は、キンキンに冷えた水滴で濡れていた。 「何だよ、死んでからもいたずらかよ。」 噴出しながら見上げた遺影は相変わらず鼻毛が出ていたが、なんだか前より少しだけ、俺には笑った顔が楽しそうに見えた。
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