21人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとう」
俺は自分を助けてくれた女の子に本当に感謝した。
お礼を言うと俺の方に女の子は近づいてきて、バシーンと左頬にビンタを食らわせた。
「何するんだよ」
「何してるはこっちのセリフです。こんな危ないところで武器も持たず何をやっているんですか」
「俺はゲームの中にいきなり入ってきたんだ」
「げーむって何なのですか?」
女の子は首をかしげた。
しまった。
俺はここがゲームの中だということを忘れてた。
なんて説明すれば良いのだろうか。
しばらく唸っていると助け船が出された。
「なにか事情があるみたいですね、とりあえずここは危険なので私の家に来てください」
こっちですよ、と女の子は指をさし自分の家に戻ろうとした。
俺はとりあえず危険な場所から離れたかったので大人しく女の子の後をついていった。
草原を歩いていくと次第に町が見えてきた。
やがて町に入り辺りを見回す。
やはり、日常では考えられないような光景が目にうつる。
町の真ん中には砦のような建物があって、武器屋や防具屋、食材を売っている市場のような見たこもないところも見られるが、大半はアパートのような建物が並んでいるだけである。
その建物のひとつが女の子の家であった。
「鍵を開けますから待っていてくださいね」
彼女は手をドアに置いた。
「アンロック」
女の子が唱えると、パキンと金属音が鳴り響いた。
「ちょっと待っていてください」
靴を脱がずにそのまま家の中へと消えて行った。
少しして女の子は戻ってきた。
「ちょっと散らかってますが、どうぞ」
こうして、俺は女の子の家にお邪魔した。
最初のコメントを投稿しよう!