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「散らかっているのであまり見ないで下さい」
案内されたところはテーブルとベッドしかない殺風景な部屋だった。
俺は、どこに居ればよいかわからなかったので、とりあえず床に座り込むことにした。
俺は何を話せば良いのだろうか。
それ以前に女の子の名前も知らない。
「あのー」
「え、はい」
向こうから話しかけてくるとは思っていなかったので声が裏返ってしまった。
「そんなに緊張しなくても良いんですよ。えと、改めまして初めましてですね。えーと、お名前は何と言うんでしょうか」
寺田りゅ、まで言ってここはゲームの世界だということを思い出した。
「リューマだ。よろしく」
「リューマさんですか。私はソフィと言います」
ソフィは微笑み、これからもよろしくお願いしますとお辞儀をした。
改めてソフィのことを見てみると、綺麗な顔立ちをしている。
深緑色の透き通った瞳、色白の肌に肩までかかったブラウンのウェーブした髪からはどこか品のある外国のお嬢様という雰囲気を感じる。
でも、どことなく話しかけやすいんだよな、そういうオーラを持っているなーと俺は思いついついソフィのことを見つめていた。
「な、なにか私の顔についてますか」
「いや、何にもついてないよ」
良かったです、とソフィはえへへと笑った。
その顔を見た俺は心を弓で貫かれたような気がした。
鼓動がやけに早い…どうかしてしまったんだろうか。
あ、まだ一つ言い忘れていたことがあった。
「助けてくれてありがとな、ソフィ」
「いえいえ、困った時はお互い様って言うじゃないですか。当然のことをしたまでです」
「ソフィは優しいんだね」
「いえいえ、たまたまリューマさんが襲われていたところが見えただけで…、ギリギリ間に合って良かったです」
ソフィはピースをしながらちょっと誇らしげな態度をとった。
そんな行動に龍馬はソフィが本当にドラゴンを倒したのかわからなくなってくる。
そもそも、火の柱はソフィが出したものなのか。
魔法なんて存在するのか。
いろいろな疑問を尋ねてみることにした。
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