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レイスは改めてしゃがみ込み、エミリアに顔を近付ける。
「絶対当てる。一撃必殺。その意気込み無く打ち込みなんてするもんじゃあない。自分の剣を、腕を信じれないヤツに握る資格はない」
レイスは言うだけいうと、また立ち上がった。
「んで、当たれば目一杯押し込んで、足を引っ掛けてやると転けるから、そこを一突き‥‥だが、聞こえちゃいないな」
レイスは近くの兵に槍を返すと、踵を返して立ち去った。
それに遅れずポニー・トンが着いてくる。
「いいのかい?」
「ん、ああ」
今は放っておくのが一番だろう。
エミリアが踏み出す時、迷いがあった。躊躇があった。それゆえ、手が伸びていない。
本人が一番分かっているはずだ。
だから、レイスが言い切ってからエミリアは顔を上げることはなかった。
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