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荷台を引いている魔物、走り回っている子ども達、値下げ交渉をしている婦人。
そんなものを眺めながら、ポニー・トンにこの店はこうだ、あの店はああだ、という話を聞いていながら歩いていると、急に人の波が途切れているところに出た。
まるで別の世界のように、がらんとしている。すぐ後ろは賑わっているが、目の前には人っ子一人いやしない。
レイスは霞んでいるその先を見つめ続けている。
「ポニー・トン。ここは?」
「こういうところくらい、あるさ。さあ、戻ろう。反対側を‥‥」
「ポニー・トン」
「‥‥‥‥。」
ポニー・トンは天を仰いで息を吐いた。
別に、こういうところが悪いとも思わない。むしろ、普通なのだ。
表には出てこない闇の部分こそ、本当に姿が見えてくる。
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