【紅い瞳と赤い記憶】

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 こちらに向かってくる犯人 →  俺を庇って刺された父親 →  母親の悲鳴 →  手についた、ぬるりとして、生温く紅い液体。  声が、出ない……。  これは……なに……?  あの手に輝くのはナイフで ⇒  それは俺に向いていて ⇒  頭の中で逃げろと叫ぶ反面、どこもかしこも固まってうごかなくて……。  ボンヤリと、降りてくるナイフを見ていると、その手が掴まれて、犯人が捕まって、俺は知らない誰かに抱き上げられていた。  最期に触れた父の手は、氷のように、冷たかった。
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