【紅い瞳と赤い記憶】

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[Side:勝]  はっと目を開けると、冷たい風が頬を撫でた。  肌寒いというのに、窓を開けてしまっていたらしい。  電波時計で時間を確認する。 《5月5日 (火) AM.01:02:59》  水を飲みに下へ行くと、クラッカーが鳴った。 「「誕生日、おめでとー!!」」 「……。……へ?」 「本当は朝やろうと思ってたんだけど、勝降りてきたから思わず鳴らしちゃった」  エヘヘッと、美里が笑う。  みんな起きていて――約一名もんのすごく眠そうな顔してる気がしなくもないが――リビングとかも飾りつけてある。 「……あぁ……俺誕生日か……」  忘れてた。  5月5日……俺の誕生日……。  俺の……生まれた日……。  祝ってもらったことも、あんま覚えてないから、実感わかないけどな。
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