つんつるてん

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友人を自殺に追い込んだのは、あいつなのだろうか? それとも、友人の自殺を嗅ぎ分けてやってきたのか。 おれにはわからなかった。 つんつるてんは死んだ。 血が流れている。 動かない。 「事故だ、事故。犬も死んでるよ」 さらに野次馬が集まってくる。 みんな興味津々だが、かわいそうのひとつも言わない。 所詮他人が死んだというのは、そういうものなのだろうか。 みんな、死んだつんつるてんを覗き込んでいた。 買い物中の主婦や、子連れの親子、おじいさん、おばあさん、犬の散歩中だった人も。 犬を連れた人も、散歩中の人も、犬を連れた人も、犬の散歩を……あれ? あれ。 犬を連れてる人、なんだか多くないか? いっせいに、ゆっくりと、こっちを向いた。     「わん」
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