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しかし、思いつく原因はそれくらいしかなかった。
捕まったら、一体どうなっていたのだろう。
それ以来、おれは白いダウンを着るようになった。
友人に説得され、大学にも通いだした。
しばらく川沿いの道は止め、遠回りして大通りの街道沿いを行くことにした。
それから数日がたち、大学は冬季休業に入った。
冬休みである。でもおれは、これから4日間毎日、大学へ通わなければならなかった。
医学部の実習では、週に2回解剖の実習がある。
しばらく大学を休んでいた時期があったから、休んだ分の実習を終わらせなければならなかったからだ。
解剖の実習は、決して面白いものではない。
3、4時間解剖室にこもってひたすら検体。
つまりご遺体のスケッチを描くのだ。
ずっと立ちっぱなしで作業をし、先生のダメ出しをくらい、やりなおす……その日の分を終わらせた頃には、日が暮れていた。
実習をしに大学へ通って3日目の夜だった。
いつものように遠回りして帰る。
明日が実習最後だ。
最終日に実習テストをやることになっている。
解剖学的な名称を答えさせる問題だ。
おれは明日のテストに備え、途中で喫茶店へよって勉強することにした。
駅前の喫茶店に入り、窓際の席へ腰をおろす。
イヤホンを取り出し、勉強に集中する……。
そうして、一時間たった頃だろうか。
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