健吾の力

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巧:やっと瑞原巧(みずはらたくみ)の出番だな。 桐:何がやっとだよ。大して待ってないじゃんか。 葵:ふふっ。そういえばここから学校が始まったんだよね。私、すごく緊張してた気がする。 桐:そっか、葵さんは引っ越してきてたんだもんね。 葵:うん。でも健吾君が教室にいてくれたから安心したのも覚えてる。 桐:俺も似たり寄ったりだよ。地元とは言え少なからず緊張はしてたよ。まぁ…そんな中でも遅刻ギリギリで来た人もいるけど。 巧:ん?何だ?…俺のこと言ってんのか?…仕方ねぇだろ、寝坊したんだよ、あん時は。 葵:開き直った。 桐:ほんとに。 巧:ちょ待て、何だこのアウェー感。やっと出番来たのにこんなか?…俺の立ち位置こんななのか? 桐:いや知らないよ(笑)。 葵:瑞原君って意外とイジられるよね。実はMなの? 巧:いや、そんなことねぇよ。器用と言ってくれ器用と。 桐:なんで得意げ?…てか葵さん!一応ヒロインなんだからMとか言わない方が…。 葵:えぇ~?…ヤダ。 巧:別にいいんじゃね?…今の女子なんてこんなもん当たり前だろ? 桐:いやそうだけど、イメージってあるでしょ。 巧:堅い。考えが堅いんだよ健吾は。正統派が好みなのは分かるけどな。 桐:な、何言い出すんだよ!? 葵:正統派が好みなの?…健吾君? 桐:食いつくな! 巧:ぉ、怒鳴った。 葵:怒られちゃった。そんなに心配しなくても大丈夫だよ、健吾君。本編ではちゃんとヒロインやるもん。 巧:まぁ可愛い。そして健気。 桐:いい加減にしてよ、その悪ノリ。イメージ云々より全然ダイジェストが進まないって。 葵:ぁ、そっか。えぇ~っと、あの時は確か瑞原君と会ったんだけど…。 巧:俺が放課後に声かけたんだよな。 桐:そう。一緒に野球やろうって言ってくれたんだよ、巧が。 葵:健吾君のピッチャーとしての実力をすごい評価してたよね、瑞原君。 巧:俺の目に狂いはねぇからな。桜坂がイイ女だってのも一目で見抜いたぜ。 葵:え?…や、やめてよ。こんなとこで…。 桐:…………。 巧:照れんなって。 桐:…またなの…?… 葵:だ、だって…。恥ずかしいよ。 桐:ぁの…ちょっと…。 巧:俺はほんとのことは包み隠さず言っちまうからさ。 葵:もう…瑞原君ったら…。
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