まるはっちん

2/11
前へ
/11ページ
次へ
今から21年前の話である。 当時、私は小学五年生だった。 隣のクラスにはいわゆる「知的障害者」の「*川」君という子が在籍していた。 親御さんが「健常な子供と一緒にどうしても教育を受けさせたい」と無理を言って「特殊学級」入学を拒否したため、学校側は仕方なく「通常クラス」に編入させていた。 この子はあまり目立った問題行動は起こさなかったのだが、ただひとつだけ問題があった。 何故か「丸八真綿」のCMのまねが大好きで、突発的にところかまわず始めてしまうのであった。 「ま~るはっちん。チャランチャランチャチャチャ、チャランチャランチャチャチャ、まるはち~ん。まるはち~ん。」 と歌いながらクネクネと踊りだしてしまうのだ。 当時、このCMは高見山関(現 東関親方)が出演している事で有名だった。 クラスの連中は「いつもの事」と相手にしておらず、隣のクラスにいた私は「異常な雰囲気」をいつも感じ取っていた。 秋になって学芸会の季節となった。 今までは「*川」君は蚊帳の外だったのであるが、親御さんが「息子も学芸会に参加させて欲しい」と校長に直談判し、学校側はしぶしぶ「*川」君の参加を認める事となった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加