春風

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  「でね、絵美が廊下で派手に転んでさー。」 「聞いた聞いた。思いっきりスカートのめくれたとってやろ?」 「山口君っけ?2年の時3組やった。」 「あぁ、山口ねー。」 「下着ば、マジマジと見よったとばーい。男なら助けんばよねー!」 「男ならしょうがなくない?何色やったっけ?」 「白の生地にフルーツの模様!……って、私に言わせんでよ!」 「腰にぶどうで、大事なとこがバナナやったっけ?」 「!!!何で知っとっと?!」 「山口から聞いた。マジうけたけんねー!」 「ハァ…。アホじゃなか?トモアキもそがん奴やったと?」 「一応おいも男やっけが、そがん怒らんでもよくない?」 「ハァ………。」 呆れて首を振る彼女を横目で見ながら、僕はニヤッっと笑った。 「いやらしかぁ!」 キッと睨む様に僕を見た彼女は歩調を早めた。 僕は立ち止まり、昔みたいに普通に話せるようになった事に、嬉しさを感じた。 と、いうよりどこかホッとしていた。 ただ僕らは、あの出来事には触れないようにしていた…。
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