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和やかな二人のやり取りを僕はそっと見守る様に見ていた。
でも、ふと僕に気づいた一瀬はパッと俯く。
(ハァ……。)
いつもの姿に戻った一瀬の一瞬見せた怯えた顔。
ため息を吐きながら、僕はボリボリと頭をかいた。
突然そんな姿になった一瀬を不思議そうに見て、戸惑う彼女は助けを求めるように僕の方に視線を向けた。
(ハァッッ……。)
ため息をまた吐きながら、僕はゆっくり二人の方に歩き出した。
「ミユキちゃん!どうしたと?」
「………。」
一瀬を心配して話しかけてる彼女と何も言わず佇むだけの一瀬の所までやって来ると、どう切り出していいか分からずまた頭をかいた。
そんな二人の気まずい雰囲気を感じた彼女は言った。
「トモアキ。あんた何か知っとるやろ!?」
「んー。」
気のないうねり声みたいな返事をした。
「何かミユキちゃんにしたやろ!?」
「は?しとらんばい!……言った…だけ。」
「何ば?」
僕は一瀬に言った、「邪魔かっさ!」の一言までのいきさつを話した。
もちろん、ユキナの事は伏せたまま。
事情を知った彼女は見下した様に僕を見てる。
いつの間にか猫背になって下を向いて話していた僕は、罰が悪い子供が相手の反応を伺うように彼女を上目遣いで見た。
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