春風

25/30
前へ
/242ページ
次へ
  「ふ~ん。」 明らかに敵意むき出しの彼女に言い訳のように言う。 「その時ちょっとイライラしてたけんが……。」 「八つ当たり……ねぇ。」 その言葉にムカッってした僕はいつの間にか言い返していた。 「だってさ、一瀬が昼休みにおらんけんが……普通はそう思うやろ!?」 「自分が曜日間違えたとに、逆ギレ……ねぇ。」 「いや……。そういう訳じ………」 ボクッ!!! (痛っっって!!) 突然二の腕を殴られた僕は目を見開いた。 チラッと目に入った一瀬の姿。一瀬も突然の出来事に驚き、口が軽く開いてたままになっていた。 「何すっと!!」 声を荒げて言っても、臆する事なく返される。 「何?文句あっと!??」 「………。」 彼女の凄みに、僕は何も言えなくなった。 それを確認した彼女は顎で僕に「謝れ!」と、合図する。 二人のやり取りをただ黙って見ていた一瀬は、「もういいよ。」と彼女を止めようと手を上げかけた。 だが、彼女は僕にもう一度顎で合図した。 言わなくちゃいけないと思ってたけど、まさかこんな形で言う事になるとは……。 (あ゙あ゙ぁぁぁ~っっ!!!) 頭の中のモヤモヤとした考えが纏まることなくグルグル回る。 無意識に頭をかきむしった。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

695人が本棚に入れています
本棚に追加