女心

2/29
前へ
/242ページ
次へ
  「じゃあ、また明日ね。」 「あ!ミユキちゃんは、そっちやったね。バイバイ。。。」 「うん。バイバイ。。。」 ナツキちゃんと一瀬が手を振りあった。 僕は無言でそのやり取りを見ていた。 すると、手を振り終えた一瀬が僕の方に視線を向ける。 (あっ……。) どうして良いか分からず、僕は俯いてしまった。 ………。 数秒経ち、もういいだろうと顔を上げた。 ドクンッ………。 一瀬はまだこっちを見ていた。 そして、視線を外さないままコクンッと頷くように頭を下げた。 (あっ!あぁ……。) 多分、挙動不審になっていたと思う。 僕は慌てて彼女の視線から逃げるように頭を下げた。 俯いたままどうして良いか分からず、僕は自然とナツキちゃんの方を向いていた。 (ん?!!) ナツキちゃんはそんな僕を見て、声をこらえ笑っていた。 (なん?!!) 不快感いっぱいで僕はナツキちゃんに目で言った。 (べつにぃー。) 彼女は目で僕に返すと、知らん顔して顔を背けた。 「じゃあねー。」 「うん。」 ナツキちゃんが手を振る。視線を地面に戻していた僕は二人の声だけを聞き、一瀬が去る気配を肌に感じた。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

695人が本棚に入れています
本棚に追加