女心

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  カコンッ…… 自動販売機で飲み物を買っていたおじいさんの横を通りすぎた。 何台か車が通りその度にお互いの距離が近くなっても、また距離をおきながら僕らは無言のまま歩き続けた。 また、車が多く通る国道に出てしばらく歩く。 (確かナツキちゃん家って…この道から入ったとこやったっけ……) 国道から外れ、僕らが通った小学校の前を通りすぎた先の小道の所で立ち止まった。 僕がそう思い出し、(じゃあね…)の一言を切り出そうとしたときだった。 「トモアキ……」 深刻そうにナツキちゃんは僕の名前を言った。 「ん?」 僕はそんな彼女の態度に気づかないふりして、なるべく普通の声で返した。 「ねぇ……」 「なん?」 「ジュースおごって!」 「はぁ?」 突然の言葉に僕は軽く怒りを覚えた。 (真面目な声で言ったけん、なんか大事な話と思ってたとに!) そう思ったから… でも、心の中では少しホッとしている自分もいた。 あれから二人の関係は微妙な感じになっていたし…… こんな会話すらも遠い昔の様な気がした。
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