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ゴクッ…ゴクッ…
「かぁーー!!うめっ!」
炭酸の刺激を喉に感じ、冷たさが胃に落ちていく感覚を身体中で味わう。
自販機横の緑のフェンスに寄っ掛かりながら飲み始めていた僕は、いつの間にか前のめりになっていた。
「おっさん……」
ガッツポーズする様な姿になっていた僕に、冷めたようにナツキちゃんはボソッと言った。
隣で同じようにフェンスに寄りかかり座っている。
「奢ってもらっときながら、なん?その態度…」
見下ろすように彼女の方を向いて言った。
「隣におる方が恥ずかしかとよ!」
そう言うと、両手で持ったジュースを口に運んだ。
「はいはい!すみません。」
僕は嫌味を込めながらも素直にガッツポーズを止め、隣に座りこんだ。
ゴクッ…
コクッ……
ゴクッ………
お互いの飲む音だけが聞こえる。
また無言の時間が過ぎていった。
ガーーッ…カタンッカタンッ……
一台の軽トラックが通り過ぎ、それを目で追っていたナツキちゃんが口を開いた。
「ごめんね。」
突然の言葉に驚き、僕は彼女の方を向いた。
ナツキちゃんはあえてこっちを見ようとせず、去って行った軽トラックをまだ見ていた。
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