青りんご

女心

　
ずっと無言になっていた僕が気になったのか、ﾅﾂｷちゃんがこっちを向いた。

のを、前を向いたままの僕は視界の端にかろうじて見えただけだった。

僕は素直にﾅﾂｷちゃんにその話を聞く事も、彼女を見ることも出来ずにいたから……。

そんな態度の僕を見て、やはり僕より少し大人だった彼女は理解したようだった。

「金田くん…って…」

そう切り出したﾅﾂｷちゃんは、僕の反応を気にしてるようだった。

その言葉に反応しなかったのを確認して、続けて話始めた。

「小学校の時からﾕｷﾅと仲よかったらしかよ…」

「ｸﾞﾙｰﾌﾟﾃﾞｰﾄ？したことがあったらしくて…。その時も、『間接キス』したとか周りに冷やかされとったって……」

「お互い、付き合うとかはなかったらしかとけど……。両想いやったとって…」

僕が知らない事に感づいたﾅﾂｷちゃんは、一から僕に話してくれた。

「そうね……。知らんかった……」

そう言いつつも僕はさほど驚きはしなかった。

今思えば、そんな感じもしていたし。それくらいの仲なら、付き合ってもおかしくはないなと客観的にそう思った。

ﾕｷﾅに対する気持ちが冷めたからではなく、納得できる部分が多くあったからなのかもしれない。