紙切れ、舞う、落ちる。

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「ねー、今朝のニュース見た?お金をばらまいて飛び降り自殺ってやつ」 「あー、見た見た。三十過ぎの男の人でしょ?」 「そう、それ。凄いよね、確認出来ただけでも三百万は越えてんだって。私がその場に居たら、必死でかき集めるね」 「気持ちは分かるけど、馬鹿な事を言わないの」 「はいはい。てか、なんで自殺したのかな?お金を使い切ってから、死ねば良いのに。私ならそうする」 「アンタならね。世の中、皆同じじゃないって事でしょ」 「そういう問題?あー、気になる!早く続報しないかな?」 「ばらまいた金は、婚約破棄の時に、相手が彼に渡した物だ」 「!…え?そうなんですか?」 「ああ、朝刊に載ってた」 「へー、そうだったんですか。男の人は別れたくなかったのかな」 「じゃない?でないと、自殺はしないでしょ」 「でもさ、思い詰め過ぎじゃない?理由が他にも有ったとしてもさぁ」 「だから、人それぞれでしょ。もしかしたら、アレが最期の相手の女性へのメッセージかもよ?『俺は金なんかで関係を終わらせたくなかった』、とか」 「それ怖いって。…つか、今の人何?ビックリした…」 「私も。あの人、片足に靴履いて無かったね」 「本当に?なんか怖っ」 「てか、朝刊にそんなに詳しく自殺の理由っぽいものが書いてあんのに、ニュースではほとんど何も情報が無いって、何事?」 「良かったな、ニュースとやらにも載れたみたいで、さ」
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