始まり

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タンスの中から服を出し、着替えた後、母が待つ1階へと降りる。 「おはよう」 「おはよー、おかあさん」 ダイニングテーブルには朝食が用意されていて、いつもの笑顔で迎えてくれる母の姿。 早くに出掛けた父を除いて、母子2人で朝食をとる。 「それにしても、寂しくなるわねぇ」 「なにが?」 「理子の大好きな正之くんが居なくなっちゃうのよ?」 「……関係ないもん」 『正之』という名前に、理子はぴくりと反応を見せるが、つい、素っ気ない返事を返してしまう。 「理子、あなたが正之くんに会うのも会わないのも、お母さんは反対しないわ。でもね、理子はそれでいいの?本当は正之くんの方がずっと寂しいと思うのよ」 「えっ…」 「ちゃんと正之くんの話は聞いてあげたかしら?」 確かに、あの時正之の話を無視して出て行ってしまった。 .
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