25人が本棚に入れています
本棚に追加
タンスの中から服を出し、着替えた後、母が待つ1階へと降りる。
「おはよう」
「おはよー、おかあさん」
ダイニングテーブルには朝食が用意されていて、いつもの笑顔で迎えてくれる母の姿。
早くに出掛けた父を除いて、母子2人で朝食をとる。
「それにしても、寂しくなるわねぇ」
「なにが?」
「理子の大好きな正之くんが居なくなっちゃうのよ?」
「……関係ないもん」
『正之』という名前に、理子はぴくりと反応を見せるが、つい、素っ気ない返事を返してしまう。
「理子、あなたが正之くんに会うのも会わないのも、お母さんは反対しないわ。でもね、理子はそれでいいの?本当は正之くんの方がずっと寂しいと思うのよ」
「えっ…」
「ちゃんと正之くんの話は聞いてあげたかしら?」
確かに、あの時正之の話を無視して出て行ってしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!