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「正之くんのお母さんから聞いたんだけど、あの日理子が帰ってから、ずっと泣いてたって。正之くんも理子から離れたくて行くわけじゃないの。正之くん、昨日も一昨日も理子に会いたがってたのよ。いつまでも意地ばっか張ってないで、行ってきたら?」
正くんが泣いてた?
知らない土地へ行くからには、当然0からのスタートを切るほかない。
それがどれほど不安なのか、引っ越し経験のない理子には全く理解できていない。
今年、小学校に上がったばかりで、ようやく友達との仲が深まってきたばかりだ。
理子は自分のことばかりで、正之の気持ちなんて考えていなかった。
ガタッ
勢いよく椅子から立ち上がると、母に一言告げる。
「正くんの家に行ってくるっ」
ダイニングを飛び出すと、一目散に正之の家に向かった。
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