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慌てて駆け出してみると、家財道具を載せたトラックがエンジンを掛け走り出そうとしている。
「正くん!!」
大声で正之の名前を呼ぶが、エンジンの音で掻き消されてしまう。
必死な呼び掛けも空しく、彼らを乗せたトラックは走り出した。
「待って!」
あの時の理子はトラックを追い掛けることで必死だった。
走っても走っても、トラックは遠ざかっていく一方。
しかし、理子は諦めることなく走り続けた。
真夏の太陽が照り付ける中、全身汗だくになって……
あまりにも必死すぎたのか、周りの景色が一切見えていなかった。
それは彼女に訪れる悲劇の始まり……
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