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エレベーターで最上階におり、右手側の角の部屋へ行く。
荒夜は桔梗より先に行くと、ポケットから鍵を取り出し部屋をあけ扉を手で抑え、先に促した。
「ありがと。っと、ただいま」
「いいえ。たっだいまぁ」
靴を脱ぎながら部屋にいるだろう聖に声をかけた。
奥から声が聞こえてき、黒髪の青年が顔を覗かせる。
「おかえり!桔梗やっと掴めたん、だ……っ!?」
目をきらきらと輝かせ、直ぐにでも何か言いたそうにしていたが、桔梗の腕の中の少女を見ると反射的に後退る聖。
靴をぬぎかけていた荒夜が、びっくりし動きを止めたほど。
尋常じゃない聖の様子に眉を潜め、次の言葉を伺う。
「な、何を連れてきてんだよ!?」
「…何って、女の子だよ。」
聖が声を荒げ怒鳴るように、言葉を投げつける。
その声に、ハッとした荒夜は靴を脱ぎ、ドアにチェーンを掛けてから答えた。
「ちげぇよ!ソレが女の子なくらい調べずみだ!!」
"ソレ"と呼んだのはおそらく少女のことで。
聖の痛いくらいの殺気が、部屋に溢れ空気がざわつく。
黒い瞳が濁り始めると、徐々に紅色へと変化していく。
いきなりの殺気に、変化に…桔梗がため息をつき聖を宥めようとする。
「聖。聖、とりあえず落ち着け…。」
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