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梅雨明け宣言をテレビがしたのは最近のこと。
前日に降った雨のせいで、じめじめとした湿気の含んだ空気。
ぎらぎらとした太陽が照りつけ、アスファルトにできた水たまりも気化している。
まだ夏ではないというのに、気温も湿気も高く、過ごしにくいことこの上ない。
人はまばらに歩いており、車通りは多い道。
歩道を歩いている男子高校生が2人。
「あちぃー」
茶髪をワックスで跳ねさせ、甘いマスクの青年がYシャツを指で摘み、ぱたぱたとあおぐ。
名を春日荒夜(カスガコウヤ)。
「……。わかってること言うな。更に暑く感じる」
黒く長めの髪はさらさらで切れ目の目がクールな青年が、眉を潜める。
名を加々見桔梗(カカ゛ミキキョウ)。
「いや、だって暑いよ。なんで桔梗は、涼しそうなんだよ」
「俺だってあちぃつーの」
肌がしっとりと汗ばんで、気持ち悪い。
はずなのだが、見る限りでは桔梗は暑そうに見えないから不思議だ。
2人共Yシャツのボタンは外しており、肌が外気に触れている。
おそらくYシャツを脱いでも体感気温は変わらないだろう。
「…ん?……なぁ、桔梗?アレ」
「アレ?……。危なげだな」
荒夜が視線の先の"何か"に違和覚え、桔梗へと知らせた。
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