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桔梗と荒夜の視線の先には、一人の幼い少女。
可愛らしいフリルのついた白いワンピース、左サイドにリボンがあるカチューシャをしている。
見た感じでは、5~6歳くらいで日本人には見えない。
色素が薄く金色の髪は背中まであり、大きな目は碧色をしている。
まるでお人形さんのような印象を受ける。
特に何も異常は見当たらないが、2人には感じるものがあったのだろう。
「異常だね~」
足は止めずに、少女との距離を縮めていく。
荒夜は、間延びした緊張感のない声で目を細めながら話す。
そんな気付いてない様子の荒夜に肩を竦めて、くぃっと顎で示す。
「裸足だし、気配もない」
「ん?裸足??……。よく見えたな…」
言われて視線を足元に下げよく見れば、確かに靴を履いていない。
呆れ半分に、桔梗をちらりと見る。
視力ありすぎだろ、と内心突っ込みを加えて。
「この辺じゃ、足切りそうじゃない?」
「それより、様子が…」
確かに、この辺にはガラスの破片が時々そのままにしてある。
細かいものまで回収が出来なかったりする現実がある。
様子がおかしいと気付いた桔梗は、否応なく足が早くなる。
少女の方は"何か"を見ながら、ゆっくりと歩いている。不思議そうに首を傾げている様子は可愛らしいが、向かっている先は赤信号の横断歩道…。
そのまま行けば、自動車との衝突は高い確率で有りうる。
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