-出会いは突然に-

4/9
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
まさか、の予感がよぎり桔梗は、走り出す。 「あ、おいっ!」 慌てて荒夜も後を追う為に走り出した。 少女はやはり、見えない"何か"を見ているようで視線が定まってないように見える。 ふらふらと、赤のままの横断歩道へと進んでいく。 プップーッ!! キキィッ!! クラクション音が響くとブレーキ音が続く。 「チッ!」 予感が的中し、思わず舌打ちをし少女に腕を回し引く。 時間的にもギリギリで思いっきり引いたせいもあり、桔梗は地面に体をぶつけた。 腕の中に抱くようにし、助けたので少女は無傷のはずだ。 「あぶねぇだろっ!!気をつけろ!!」 人を挽きそうになった車は一旦止まるが、暴言を吐きそのまま走り去っていった。 後ろの車との車間距離が、かなりあったおかげで玉突き事故にもならずにすんだようだ。 「ひゃー…。危機一髪?桔梗大丈夫?」 後から追いかけてきた荒夜が、腰に手を当て走り去っていった車を見てから、しゃがむと桔梗に伺うような視線を向けた。 「いてて…。とりあえずは、どこもやってねぇ…けど」 溜め息混じりに、眉を寄せたまま答える。 すぐに引くと思うが、痛いには痛い。 桔梗の腕の中には、状況が飲み込めずに目をぱちくりさせている少女がいた。 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!