-出会いは突然に-

5/9
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
若干強めに体を打ったみたいで、桔梗の顔は歪んだままため息を零す。 荒夜が苦笑をし、桔梗の腕の中の少女を抱き上げる。 自由になった手を使い、よっと起き上がりパキパキと首やらを鳴らし、服をほろった。 「っと、ほらよ。全く…さて、お嬢ちゃん?どこからきたのかな?」 片腕にのせるように抱き直し、視線を合わせてなるべく優しく尋ねる。 少女の肩が小さく揺れ、困ったように眉を下げると視線を下げてしまった。 その反応に困り、ははっ…と空笑いしてしまう。 「……」 「なぁ。この仔やっぱりおかしいんですけどー…」 視線すら合わせてくれないくせに、抱っこされることに関しては嫌がる素振りすら見せない。 嫌がりはしないものの、自ら触ってこようとはしない。 桔梗も、それについても不信感を募らせていたらしく大きく溜め息をつく。 「とりあえず、連れて帰るか。異常なのはわかってるけど、俺達じゃ詳しいことはわからないしな。聖なら何かわかるだろ」 このまま道路に居ても状況は変わらないだろうし、少なからず注目を集めてしまうことは予測の範囲内。 ならば、家に連れて帰るのが最善だと考えたわけだ。 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!