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若干強めに体を打ったみたいで、桔梗の顔は歪んだままため息を零す。
荒夜が苦笑をし、桔梗の腕の中の少女を抱き上げる。
自由になった手を使い、よっと起き上がりパキパキと首やらを鳴らし、服をほろった。
「っと、ほらよ。全く…さて、お嬢ちゃん?どこからきたのかな?」
片腕にのせるように抱き直し、視線を合わせてなるべく優しく尋ねる。
少女の肩が小さく揺れ、困ったように眉を下げると視線を下げてしまった。
その反応に困り、ははっ…と空笑いしてしまう。
「……」
「なぁ。この仔やっぱりおかしいんですけどー…」
視線すら合わせてくれないくせに、抱っこされることに関しては嫌がる素振りすら見せない。
嫌がりはしないものの、自ら触ってこようとはしない。
桔梗も、それについても不信感を募らせていたらしく大きく溜め息をつく。
「とりあえず、連れて帰るか。異常なのはわかってるけど、俺達じゃ詳しいことはわからないしな。聖なら何かわかるだろ」
このまま道路に居ても状況は変わらないだろうし、少なからず注目を集めてしまうことは予測の範囲内。
ならば、家に連れて帰るのが最善だと考えたわけだ。
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