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「そういや、聖の奴結局学校来なかったな」
「俺は来ないと思ってたけどな」
途中で投げた鞄を拾い上げ、桔梗が歩き出す。
「……。加々見さん?この仔は、僕が持つのかな?」
「重くないだろ?……。俺が持てば文句無いだろ」
「まぁ、一般的には重くはない。」
わざとらしい言い方に、溜め息を零し、ほらと手を出す。
少女を桔梗の腕に渡したのの変わりに、桔梗の鞄は荒夜が持つことにした。
話題に出てきた、聖という人物は鈴川聖(スズカワセイ)といい男性で、桔梗と荒夜と3人でルームシェアをしている。
所謂高級マンション暮らしで、共同スペースに各自の部屋があり、その上に空き部屋が2つある5LDK。
歩きながら、会話をするが少女は一向に口を開かない。
ただ聞いているだけ。
「聖に、何て説明する?」
「説明…か。それより、俺は何だか胸騒ぎが止まらねぇよ」
桔梗は、難しそうな表情を浮かべ腕の中の少女を一瞥した。
この幼い少女に、何か大きな"力"を感じる。
おそらく気のせいじゃない。
「胸騒ぎって、嫌な感じの?」
「よくわかんねぇんだよ。ただ、すげぇ胸騒ぎだけはしてる」
少女について話しをしながら、マンション入っていく。
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