хⅩⅢх~あの日~

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  現在時刻08:43。 現在地雅心宅。 集合時間09:00。 なかなかにヤバい。 そして、俺は鳳月を、鳳王ビルに送り届けた後、鳳月のイヤリングを取りに行くついでに、兄貴を起こしに来たんだが…… 「兄貴早く準備しろよ!」 兄貴は寒さからか中々起きず、今だ着替えてる状態だ。 「うるせぇな……」 兄貴はそう愚痴をこぼしながら、ズボンをはく。 「後一分で支度しろよな!イリアいるか!」 俺は兄貴にそう怒鳴った後、イリアを呼んだ。 そう――今日はイリアもついていく。 なんせ、あの人の実の妹であるんだから――当然だ。 俺が呼んで数秒後、赤いドレス姿のイリアが現れた。 「なんですか?鬼心」 「お前も《表》に出るんだから、そんなゴスロリみたいな服じゃなくて、普通の服着ろよ?」 「普通?どんな服ならよろしいんですか?」 普通の服だっつってんだろ。 「夏に色々と俺ん家に来ただろ?そん中の誰かの服にしろ」 「鬼心。私の記憶だと、女は全員浴衣姿だったと思うんですが?」 そうだった…… あん時花火大会だったから全員浴衣だったな…… 「じゃあ鳳月が着ていた服でも再現しとけ」 「わかりました」 イリアはそう返事をすると、赤いドレスが一瞬にして消え、白いニット帽に白いジャケット、白いミニスカートに白いニーソックを履いた姿になった。 「お前朝いたんだな……」 呆れる俺。 「可愛いですか?」 そう言って、くるりと回ってみるイリア。 うん。 お前の体躯は小学校高学年並だからな。 似合い過ぎてる。 特にミニスカートが。 「あぁ可愛いよ」 俺がそう言うと、イリアは嬉しそうに微笑んだ。 「クソババアが色気使ってんじゃねぇよ」 すると、着替え終わったらしい兄貴が、イリアに向かって言い放った。 「クソガキが……黙ってろ」 対するイリアは、殺気剥き出し兄貴に言う。 「あのさぁ、喧嘩しないでくんない?兄貴は黙ってろよ」 俺がイリアに味方したため、兄貴は一人になってしまった。  
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