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とある古城の一室――
そこには、赤いドレスを着た一人の女性……いや、少女とそれにひざまつくスーツ姿の男性の姿があった。
「女王はどこなのです!まだ見つからないのですか!もう五年が経っているのですよ?」
女性は怒り気味だ。
「すいません。"女王"は極東の方へ行かれた後、行方がわからないのです」
男性は、申し訳なさそうに頭を下げる。
「困ったものです女王には。それに極東といったら、十年前の"狩りの地"ではないですか。まぁ、一族最強と言われた女王のことですから、生きているとは思いますが、"400年間"ずっと"王"を決めていないのですから、そろそろ"王"を決めていただかなければならないというのに」
女性は「はぁ」とため息をつきながら、窓の外を見詰める。
外は満月で、当たりを明るく照らしていた。
「これから、女王の捜索はどうなされますか?」
「すみませんが、捜索は続行して下さい。姿や場所を変えている可能性があるので、捜索地域を広げて下さい」
「わかりました」
男はそう返事をし、その場から消えた――
「はぁ……女王様、早くお帰りになって下い……」
女性は溜め息をつきながら、遠くの空を見つめるのであった……
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