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二ヶ月……いや、六月三十日になった。
つまり、修学旅行の一人前……いや、一日前だ。
そして現在は、夜雲 雅心の家に、俺と鳳月はいる。
なんで俺の家にいるかというと、明日は修学旅行で、大きな荷物はすでに送ってあるのだが、「今日の宿題は家に帰って早く寝ることです」と、小学生の遠足前日の宿題みたいなものを出され、二年生は全員帰宅し、明日は空港集合となったのだ。
まったく
金持ちのクセにセコい。
全員タクシーでいいから、空港まで送れよとあの野郎に言いたい。
「で、もう買い揃えるもんはねぇよな?」
「ないわよ。アンタに随分おごってもらったしね」
「じゃあ、後はコレだけだな」
そう言って、雅心は怜璃に少し厚みのある封筒を渡す。
「何これ?」
怜璃は不思議に思いながらも、雅心から渡された封筒を受け取る。
「おこずかい」
「おこずかい?」
そう言われて、怜璃は封筒の中身を出すと、厚さ1㎝の札束があった――
「って百万円!?」
驚愕する怜璃。
「よく見ろ。それ全部千円札」
雅心にそう言われてよく見ると、札束は一万円札ではなく、千円札だった。
つまり、千円札百枚で十万円……
天下の鳳王学園の四泊五日の修学旅行にはちと、少ない……
「コレ……だけ?」
「とりあえず、それだけ……つーのは冗談で、コレ」
そう言って、今度は別の封筒を取り出して、雅心は怜璃に渡す。
雅心から渡された封筒を、怜璃は怪しく思いながらも、封筒を開けた……
「ユーロ紙幣……」
そう、中に入っていたのはユーロ紙幣。
もちろん、ヨーロッパでは円は使えないので、雅心が先にユーロに変えていたのだ。
「そうゆうこと。それがお前のおこずかい。多分、お土産程度のモノならたんまり買える金額だ」
「ありがとう……」
「どういたしまして」
その後、二人は色々して、色々し終わり、明日に備えて寝た。
ちなみに、明日の集合時間は五時半。
ここから空港までは、"車で"一時間以上かかることを、書き加えておこう。
◇
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