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「寒い……」
白い息と同時に吐き出した言葉の主はジョシュア・スクワイア。
まだ幼さを残しつつある顔立ちからして齢は十代後半であろうか。
マフモフフードから覗く髪はこの大陸でも珍しく、回りの雪と同じ様に白銀に煌めき、彼を特徴付けている。
「頑張るニャ。 この山を越えたらポッケ村だニャ」
答える声はアレン。
ジョシュアのオトモとして共に修行をしている若いアイルーだ。
「もうすぐったって……その山がキツいんじゃないか」
息も絶え絶えになりながらジョシュアが抗議する。
「このままじゃ倒れちゃうよ…… どこかで休まないか?」
首を横に振りながらアレンが歩を進める。
「そんな悠長な事を言ってたら日が暮れるニャ。 そうしたらもっと寒くなるニャよ?」
「うっ……わかったよ……」
さすがにポッケ村目前で洞穴を探して右往左往する気にはなれない。
そしてもし洞穴が見つからなければ、確実に凍死するのだ。
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