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とはいえ長旅の疲れは容赦なく2人の歩みを重くする。
峠を越えた辺りで洞穴を見つけたジョシュアは小休止をとることにした。
「よっと…」
重いポーチを下ろし、中から組立式の肉焼きセットを取りだす。
固形燃料に火をつけ、来るまでに狩って調達したポポ肉の塩漬けを焼き始める。
「♪~♪♪~♪~♪♪~」
お決まりの肉焼き歌を口ずさみながらポポ肉を調理していく。
「ほいっと」
完璧なタイミングで焼き上げた肉はうまそうな匂いを漂わせ、今にも肉汁が滴り落ちそうだ。
アレンはヒゲと尻尾をピンと立てて今か今かと待っている。
「ほら、アレン。お腹空いてるだろ?」
火傷しないように少し冷ましてからアレンに肉を切り分ける。
駆け出しのハンターは肉焼きで必ず躓くが、ジョシュアにとってこれくらいの調理は慣れたものだ。
「ありがとニャッ」
アレンが肉にかぶり付くのを見ながら自分の分の肉も焼き始める。
傾いた西陽が洞穴を紅に染める。
「さ、これ食ったら行こう。もうすぐ日が暮れる」
「ニャッ。ポッケ村まであとは下るだけニャ」
だが、この山に凶暴な気配が蠢いていることに2人はまだ気がついていなかった…
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