第1章~邂逅~

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 先に異変に気がついたのはアレンだった。 「ジョシュア……なんだかヒゲがピリピリするニャ」  アレンが毛を逆立て辺りを警戒する。  確かに殺気のようなものが辺りに満ちている。 「うん……嫌な予感がする。急ごう」  洞穴を出て下り道に差し掛かる岩壁の角を回り込んだ時だった。 『そいつ』はそこにいた。  まず目に入ったのは特徴的な前足と頭。挿し絵で見たリオレウスなどの飛竜種とはまったく似つかない。口にはズラリと牙が並び、それは真紅に染まっている。 ――血だ  ジョシュアがそう理解する前に全身がすくんでしまっていた。  本能が逃げろと叫んでいるが足は頑として動かない。 『逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ』  刹那、『そいつ』が雄叫びをあげた。 『グガアァァァアアッ!』 『狩る者』の咆哮がジョシュアの全身を刺し貫く。 ――動く  恐怖の針が振り切れたようだ。凍りついていた身体が少しだが言うことを聞く。 『ヤバい。アレン……アレンは?』  振り返ると恐怖で凍りついたアレンがいた。その小さな体は『そいつ』の眼光に射竦められて小刻みに震えている。 『グァァアアアッ!』  雄叫びをあげながら『そいつ』はこちらに突っ込んで来た。
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