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チャポン…と音を立て噴水に落ちた龍は、波紋を広げる。
メリルは再び両手を広げる再び水の珠を浮かせる。今度は大小10個ほど…。
それは上に向かって水を吹き出す…。朱に照らされキラキラと輝く水…。
「おぉ、美しや!これはこれは…。」
そう呟いた老婆は噴水に近付き賽銭を投げ入れた。
『あらら、どうしましょう。』
「この噴水には神様がおられるぞ。ありがたや、ありがたや。」
少し困った表情を浮かべるメリルとは反対に、老婆は目を閉じ手を擦り合わせる。
「いつまでもこの街を御守りくださいませ。」
そう言うと深く頭を下げ去って行った。
『お任せ下さいませ。私に出来ることならなんでも致しますわ。神様ではありませんけどね。』
ふわっと笑みを浮かべ老婆に答える。しかしメリルの言葉が聞こえることはない…。
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