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「優、大丈夫ですか?」
江戸を発ってから早七日。
頼みの綱にしていた林太郎さんもとうに離れ、親子三人での旅となった。
「大丈夫です!大河も、大丈夫ですよ。それより、お母様は大丈夫なのですか・・・?」
優が元気よく答える。
「はい。大丈夫です」
私も笑顔で答える。
「そろそろ、駕籠を使いましょうか?」
私がそう言うと、二人はいきなり顔を明るくした。
「本当ですか?」
「いいんですか?」
うれしそうにしながらも、少し不安な顔を見せる二人に、私は笑顔を向けた。
「大丈夫ですよ。お父様が旅立ってから、貯めてきたお金がありますから」
そう言って私は、巾着に入ったお金を見せる。
「それじゃ・・・」
「お願いします!」
私は笑顔を返して、駕籠を呼ぶために立ち上がった。
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