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駕籠での旅は揺れがひどく、決して快適ではないものの、疲れた私達にとっては、そこは楽園とでも言うべきものだった。
「わぁ~速いですね~」
大河が驚きの声を出す。
「本当ですよ、お母様。景色の動きが速いです」
双子が、私に話しかける。
私は二人に微笑みかけてから、外の景色を見る。
駕籠からの風景は二度目だったが、最初がとても小さい時だったので、とても新鮮な気持ちで見ることができた。
「着きましたよ」
二人はいつの間にか寝ていて、私は新選組の屯所の近くにある宿に着いたところで二人を起こした。
「え・・・ここがお父様のいるところですか?」
寝ぼけた様子の大河が言う。
「いいえ。しかし、この近くですよ。今日は遅いので、ここに泊まって明日訪ねましょう」
二人が返事をしたので、私達は荷物を持って中へ入っていった。
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