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「はい、つねさん。文です」
私は近藤さんの奥さんであるつねさんに文を手渡す。
「ありがとう、由果ちゃん」
そういってつねさんは、早速皆が集まっている方へ向かう。
私はもう用は済んだので、洗濯物を畳むのを続ける。
「お母様ー。さっき、彦五郎さん来てましたけど、どうしたんですか?」
優と大河が近付いてきた。
二人は、私と総司さんとの間にできた双子だ。
五歳になる今でも、二人で仲良く遊んでいる。
「あのね、彦五郎さんの弟さんが、お父様たちのことを文に書いて送ってきたのを、持ってきてくださったのよ」
私は丁寧に説明する。
「そうそう、はい、これ」
と、私は彦五郎さんからもらった大福を優に渡す。
私が誰かから食べ物をもらうたび、それはいつも子供たちの手に渡る。
優に渡すのは、彼女がしっかり者の姉だからだ。
二人は、わーいと声を上げて去っていった。
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