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「うそ・・・」
信じられないような言葉が並ぶ文を見て、私はそう呟いた。
読み間違いではないかと、私は何度も読み返した。
しかし、結果は変わらなかった。
私は、心は呆然としながらも、頭はしっかりとしていて、このことを彼の唯一の身内に教えなければ、と思った。
「林太郎さん!」
私は総司さんの義兄である林太郎さんを呼ぶ。
「みつさん、来てますか?」
みつさんは総司さんの姉だ。
だから私にとっては義理の姉なのだが、昔からの癖で、ずっと名前で呼んでいる。
「ああ、来てるよ。今はお茶を淹れてるよ」
その言葉を聞いてすぐ、私は台所へ向かった。
「みつさん!」
つねさんと一緒にお湯を沸かしていたみつさんは、笑顔で振り向いた。
「あら、由果ちゃんが私を頼るなんて珍しいわね。どうしたの?」
私は黙って、文を差し出した。
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