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みつさんは、しばらく黙って読んでいたが、やがて小さく声を上げた。
つねさんが後ろから覗きこむと、つねさんも驚きを隠せないようだった。
「由果ちゃん・・・」
つねさんは私の顔を見た。
その途端、私の目からは涙が流れてきた。
「あれ・・・ちょっと・・・」
私はなぜ涙が出てきたのか分からず、止めようとしても出来なかった。
「ごめんなさい・・・私・・・」
私は必死で謝る。
「謝らなくてもいいのよ!あなた、こんなところで我慢してていいの?」
みつさんの言葉に、私ははっとした。
「・・・そうだ」
ここでこのまま、事態が変わるのを指をくわえて見ているなんて出来ない。
「みつさん、つねさん。私、京に行きます」
彼のいる京へ・・・
彼を救うために・・・
私は決意した。
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