桐一葉-秋Ⅰ-

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「お母様!」 急に入ってきた母に驚きながらも喜ぶ二人に、私は言う。 「優、大河。私達はお父様の所へ行きますよ」 「え?どうしてですか?」 当たり前だが、二人は驚いていた。 「理由は詳しくは話せないのですが、お母様が京に行くことになったので、あなた達も一緒に行くことにしたんですよ」 こんな説明でも、幼い子供たちは理解してくれた。 「分かりました!」 「ではすぐに準備してくださいね」 「はーい!」 そう言って二人は仲良く準備をしていく。 その様子を横目で見ながら、私も自分の分の準備をする。 「準備は出来ましたか?」 私は二人に尋ねる。 「はい!」 「それでは、おじ様にちゃんと挨拶してくださいね」 林太郎さんのことは、説明が難しいので、単に"おじ様"ということにしている。 「おじ様!よろしくお願いいたします!」 二人は笑顔で言う。 「お、二人ともえらいね」 と林太郎さんは二人 に向かって言い、私に 「言葉遣いが丁寧だね。しっかり教えてるんだ」 と言った。 私は、曖昧に答えて出発を促した。 .
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