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「じゃ、行こうか」
「はい」
見送りには、つねさんやみつさん、彦五郎さんまで来ていた。
「いってらっしゃい、由果ちゃん」
つねさんが言う。
「体に気をつけてね」
「はい」
「皆によろしくね」
みつさんが言う。
「承知しました」
私はそう答えて、笑顔を見せる。
「では、行ってきます!」
私は一歩進んで、振り返って手を振る。
つねさん達も、手を振っていた。
「おば様たちも元気でー!」
優と大河も、私の真似をして手を振った。
こうして私達家族は、幸せな生活を捨て、茨の道を進むことになっていった。
そんなことは、あの文を受け取った瞬間から、分かっていた。
それでも、私は進まずにはいられなかった。
"彼に会いたい"
その一心が、私を強く動かしていた。
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