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私はこの外見のせいで得をした事など一つもない。 最初は仲良くしてくれた子達も、徐々に私から離れて行った。 『アンタといると、比べられるのよ』 『ちょっと可愛いからって調子に乗らないでよね』 それが理由だった。 全てが外見に起因している。 外見に頼った事など一度もない。 しかし周りはそうは思ってくれないのだ。 だから私は開き直った。 中身のない友達なんていらない。それならこの外見をフルに活用してやろうと。 その日から私は笑顔を作り、愛想を振り撒いた。 そうする事で学校の先生方の評価が上がり、内申がよくなった。 高校大学と男女問わず友達も出来たが、本音を言える友達はできなかった。 そんな中、大学入学後同じゼミの男性と親しくなり、よく会話を交わすようになった。 彼はとても素直で、誰にでも嘘のない笑顔を見せる。 私はそんな彼が眩しく見え、いつの間にか彼を目で追うようになっていた。 そしてある日、思いかけず彼からの告白を受けた。 私は迷わずOKした。彼と一緒にいる事で以前の自分を取り戻せるのではないかと思ったのだ。 彼となら。
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