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「みちるちゃんは、どうして笑わないの?」 ドキっとした。 でも……同類なら気付いてもおかしくはない。 「そうですか? いつも笑顔を心掛けているつもりなんですが……気をつけますね」 私は社長ににっこりと微笑んだ。 「ほら、それ。笑ってるけど、笑ってない」 社長のその言葉にカチンときた。 「社長に言われたくありません」 「ん? どうして?」 「社長だって作り笑いじゃないですか」 社長は私の意外な突っ込みに驚いたのか、それとも見透かされて驚いたのか、目を見開いて私を見つめた。 「そうか……そうかもな、癖になってたのかもなぁ」 「癖……?」 「そう、昔は南以外には本当の自分を見せなかったからね。みちるちゃんの本当の顔、見てもいい?」 「私……の……?」 「そう」 社長はそう言って、あの時千波ちゃんに見せた笑顔で私を見つめ、両手を私の頬に添えた。 そして唐突に、唇を重ねてきたのだ。 何が起きたのかわからず呆然とする私を後目に、社長は私の唇をついばみ始めた。 「ちょ……やめて下さいっ!!」 私は社長を突き飛ばし、唇を拭いながらギッと睨んだ。
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