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「セ……セクハラで訴えますよ!?」
「ああ、ごめんね? でもほら、みちるちゃんの感情が見える顔が見れた。笑顔じゃないのが残念だけど」
社長は相変わらず爽やかな笑顔で私を見つめる。
やっぱり悔しい……。
私は千波ちゃんに嫉妬してた訳じゃなく、やっぱり社長に嫉妬してたんだ。
……違う。
羨ましいんだ……。
素直な笑顔を向ける相手がいる事が。
もう作り笑いをしなくて良くなった社長が。
悔しくて、羨ましくて、それでいて、私にまでそんな笑顔を向けてくれて。
尚且つ私の心を見抜いた社長が憎らしかった。
そんな感情がごちゃ混ぜになり、思わず涙が零れる。
「意外と簡単な事だったよ? 本当の笑顔が欲しい時は、自分も本当の笑顔を向ければいいんだ。勿論一方通行の時もあるけどね? 今の俺みたいに」
社長は私の頭をポンポンと優しく撫でる。
「俺もみちるちゃんの本当の笑顔が見たいな、考えてみて?」
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