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歩き続けて、どれくらい時間が経ったのだろう。
とにかくその日も僕は歩いていた。行ったり来たりして、たまに余所見をしながら。
そして、あの日、僕は初めてあのメロディ以外の“音”を聞いた。
「あなたが勇者様ですか!」
それは、道の向こう側にいる、初老の男が発したようだった。
ああ、これが“声”なのだと、認識するまでには幾分か時間がかかったけれど。
理解した時は、それはもう、すごい衝撃だった。
僕の繰り返しの世界が、突然、いとも簡単に崩されてしまったのだから。
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