カセットテープ

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 そうそう、高校時代のちょっと不気味な話をしようか。別に恐いってわけじゃない。ただなんとなく気味が悪くなるような話。  あれは一年の終わりだったはず。その年度の部活も終了して毎年恒例の部室掃除をしてた時さ。  まあ、掃除って言っても部室自体狭いし、だいたい俺らの代だと結構形骸化しちゃっててなかなか隅々までやらないんだよね。  でもまあ、俺ってば一旦やり始めると徹底的にやるタイプじゃん? え? そのやり始めるのが何でもかんでも遅いって? うるせえな。受験失敗したのを一々ほじくり返すなよ。今はそれなりの大学行ってるじゃねえか。  でさ、小汚ねえロッカーの裏を掃除してたんさ。どんだけ掃除してねえんだよってぐらい埃が溜まってて、箒で掃くたびその埃が舞って最悪だった。  それでも一台目の裏を掃除しきって、二台目のロッカーの裏を掃除しようとしたらさ、積もった埃に埋まってなんか筒みたいなのが落ちてんの。  それ拾ってみたらさ、なんか茶色い茶筒だったんだ。  で、そりゃあ開けてみたくなるよな? 別に蓋にテープが捲いてあるとかどっかのホラー話とかじゃなくて、すんなり開いたんさ。  んで、中に入ってたのはカセットテープ。  今時カセットかよ……。つまんね。とか思ってまた茶筒にしまいそうなったんだけどさ、そのカセットのケースにマジックで「聞くな!」って書いてあんの。  うわ。これ気になっちゃうじゃーん。とか思ってとりあえず先輩んとこ持ってった。先輩なら何か知ってると思ったし、ラジカセのある場所なんて知らなかったからさ。  で、聞いてみたけど誰も知らねえって。ラジカセなんて先輩達も使った覚えなんてないって言っててさ。  でも二年の先輩がさっき掃除してた時、ラジカセ見たって言って持ってきてもらったんだ。  今の部員誰も聞いたことないっていうから皆ワクワクしてさ。で、部長も含めて俺達全員ラジカセに集まっていよいよご拝聴。  ラジカセ自体が動くか心配だったけど、ちゃんと電源入って動いてくれた。で、肝心のカセットの中身なんだけど……。 「アッハッハッハッハッハッハ……」て、ずうっと男の笑い声が入ってただけなんだよね。ほんとにずうっと。  なんとなく不気味だったけどさ、「なんだこんだけかよ」って言ってみんなで笑いあったぜ。でもさ、俺気付いちゃったんだ。  あの笑い声、十分以上一度も息継ぎしてなかった。
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